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仮講堂で「竪義(りゅうぎ)」を学ぶ 興福寺・特別貸し切り拝観を開催しました!

更新日:2023年3月20日



奈良・興福寺の僧侶たちの登竜門とされる教学試験「竪義(りゅうぎ)」について現地で学ぶ「仮講堂で『竪義(りゅうぎ)』を学ぶ! 興福寺 特別貸し切り拝観」を2023年3月19日(日)に開催しました。2019年にこの試験を成満(合格)したドイツ出身の僧侶、ザイレ暁映さんが講師となり、試験に挑むまでの前行の厳しさや、学び続けることの大切さについてお話しくださいました。

興福寺会館から望む三重塔。好天に恵まれました


この日は午前10時から、境内の興福寺会館で暁映さんの講義がありました。法相宗の大本山である興福寺と薬師寺では、毎年11月13日に宗祖である慈恩大師の忌日法要「慈恩会」を営んでおり、受験者である「竪者(りっしゃ)」がいる年はその法要の最後に、教えに対する口頭の教学試験である「竪義」が行われます。

竪義に関して講義をするザイレ暁映さん


暁映さんは「90分から2時間ほどの問答をすべて暗記しなければなりません。他にも竪義をする宗派はありますがだいたいは読み上げで、暗記する宗派は知りません」と法相宗の竪義の厳しさを紹介しました。

前加行中の苦労を語るザイレ暁映さん


また慈恩会まで、最低3週間の「前加行」という修行期間があり、2畳ほどのスペースに座って勉強を続けるといいます。横になることが許されず、寝るときも座ったまま。「まともに眠れないのはしんどかった」と振り返ります。また行の初めには春日大社から浄火をいただき、終わった後にまた返しに行く、定期的に春日大社に参拝に行くなど、かつて一体だった春日社・興福寺の神仏習合の歴史が深く刻まれていることも紹介してくださいました。

その後、仮講堂へ


その後、慈恩会の会場となる仮講堂へ移動。一般の拝観は5年ぶりとのことで、堂内にはひんやりした空気が漂います。このお堂はかつて薬師寺の金堂だった建物で、昭和に薬師寺に金堂が再建される際に興福寺に移築されたそうです。「薬師寺のお坊さんの中には、この中に入ると懐かしいとおっしゃる方もいます」

かつては薬師寺の金堂だったという仮講堂へ


本尊は鎌倉時代の阿弥陀如来坐像(重要文化財)。かつて子院・観禅院の本尊だったお像だそう。平安時代初期の地蔵菩薩立像、慶派仏師の定慶が手がけた梵天立像(いずれも重要文化財)など、普段はなかなかお目にかかれない仏様を暁映さんのご案内で拝観しました。

仮講堂について説明するザイレ暁映さん


最後に、竪義の際に唱える論義を一部を再現してくださいました。あまりの難しさに追い詰められる状況を再現する「切声(きりごえ)」(通称・泣節)など、特徴のある唱え方を間近で聞くことができました。


法要を締めくくる「結句」には、「今日はこれぐらいにしておきましょう」といった意味があるそう。暁映さんは「竪義はあくまでも中間。学問の道はまだまだ続くというメッセージが込められているのでは」と語りました。


ご案内いただいたザイレ暁映さん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!


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