奈良の古刹・當麻寺(葛城市)の塔頭である中之坊で特別な時間を味わう「秘仏拝観と写仏体験」を2023年1月14日(土)に開催しました。あいにくの雨の中となりましたが、多くの方にご参加いただきました。
午前10時、普段は拝観できない太子殿に集まり、松村實昭院主の先導で般若心経をお唱えしました。
普段は入れない太子殿に集合しました
太子殿に安置される聖徳太子像は秘仏で、「御愛(おんあい)太子」と通称される7歳のお姿の像。松村院主から、かつて法隆寺にまつられていたことや、江戸時代の安政年間に太子を信仰した中之坊の僧侶の熱意によって法隆寺から贈られたことなど、像にまつわる経緯をご説明いただきました。「体つきは子どものようですが、お顔は大人のよう。聡明な太子のお姿を表しています」と説明がありました。
お寺の歴史についてお話される中之坊の松村實昭院主
その後はお寺の歴史を紹介。聖徳太子の弟が河内国に建立した「万法蔵院」がルーツとされるため、太子とは浅からぬつながりがあるのだそう。また、「継子いじめ」の説話で知られる中将姫とのつながりや、「當麻曼荼羅」の信仰についてもお話いただきました。
写仏の心構えについて説明する松村院主
仏様の姿をなぞる「写仏」の心構えについても松村さんから説明がありました。「いわば中将姫様の追体験をしていただく。上手下手ではなく仏様との対話の時間なので、ゆっくりと、仏様にすべてを任せるような気持ちで描いてください」とのお話に、参加者も真剣な表情を見せていました。
中之坊の本堂である剃髪堂
その後、本堂である剃髪堂に移動し、ご本尊の十一面観音様(通称・導き観音)にお参りしました。
優しい表情が印象的な導き観音
いよいよ写仏道場へ。写仏する仏様は「導き観音」や、曼荼羅に描かれている「阿弥陀如来」など8種類。また「般若心経」、中将姫が書写した「称讃浄土経」の写経の計10種類から好きなものを選べます。美しい絵天井の下、皆さん心静かに筆を運んでいました。
終了時間は設定せず、各自で心ゆくまで仏様と向き合っていただきました。
写仏道場の天井は美しい絵天井
皆さん丁寧に筆を運んでいました
終わった方から国の名勝に指定されている庭園「香藕園(こうぐうえん)」へ。東塔(国宝)を借景とした名庭がしっとりと雨にぬれる風情を楽しんでいました
東塔を借景とした庭園「香藕園」
咲き始めた梅の花が、少し早い春を感じさせてくれました
松村院主を始め、お力添えいただいた中之坊の皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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