僧侶特集 #02 正明寺 小林恵俊 法嗣

更新日:2020年12月23日

お寺と出会うポータルサイト 「つなぐ寺」が特集する僧侶紹介シリーズ。 第2回目は、天台宗正明寺 小林恵俊法嗣です。



【プロフィール】


僧侶名:小林恵俊(こばやし・えしゅん)

お寺:正明寺

所在地:兵庫県姫路市五軒邸2丁目88番地

宗派:天台宗

役職:法嗣(ほっし)


【紹介文】


黒縁めがねのいかにも真面目そうなお坊さんが、なぜかサメのぬいぐるみと向き合って仏法を語る。独特のスタイルの動画が静かな人気を呼ぶ小林さんだが、その思いは真っすぐだ。「仏教は面白いんです。でもそれを伝えるのは、本当に難しい」。いかに伝えるか工夫を重ねる日々だ。



 「人からよく、ぼーっとしていると言われるんです」。世界遺産・姫路城のお膝元。歴史的にお城との関係も深い正明寺の1人息子として生まれ育った小林さんは、そんなおおらかな雰囲気をまとったお坊さん。しかし心の中は違うようだ。「そんな時はだいたい、あの時ああしておけば良かったとか、何かをネガティブな方向に考えている。昔からそういうタイプなんです」

 そんな自分を変えるきっかけをくれたのが、仏教だった。大学卒業後に天台宗の僧侶を養成する叡山学院に進学。そこで本格的に仏教を学び始めると、自分を客観的に見ることができるようになった。「日常の見え方が変わってきた。『これは面白い』と感じました」。2年程度で卒業する人も多い中で5年間通い続け、培われてきた教えを浴びるように学んだ。

 ただ、その面白さを人に伝えるのは簡単ではなかった。2017年に寺に戻り、檀家さんたちの法事で積極的に法話に挑戦したが、空回りした。「ああ、聴いてもらえていないなあと感じることがよくあった」。心が折れそうにもなりながら「大切なのは経験を積むこと」と信じ、「多少嫌がられてもいい、くらいの気持ちでしゃべりに行きました」。法話に力を入れる宗派の研修にも参加するようになった。


 転機となったのは2019年6月に開催された「H1法話グランプリ~エピソード・ZERO」への出場だ。宗派を超えた僧侶たちが「もう一度会いたいお坊さん」ナンバーワンを目指して法話を披露し合う大会。副実行委員長だった雲井雄善さん(神戸市・能福寺住職)と知り合いだった縁で出場を打診され、最年少で出場した。グランプリは逃したものの、フレッシュさと意欲を評価され「奨励賞」を受賞。ただ賞以上に「宗派を超えたつながりができたことは大きな刺激になった」。法話への情熱に火が付いた。


 もう一つの転機が、2020年春以降の新型コロナウイルスだった。法事や月参りを控えざるを得ない状況の中、「今だからこそできることを」と考え、空いた時間を使ってYouTube配信を始めた。「H1で出会った僧侶の中にもYouTubeをやっておられる方がいて、いつかやりたいと思っていた」。ピンチをチャンスにと、新たな挑戦を始めた。

 その際に思いついたのが、サメとの「対話スタイル」だった。カメラに向かって語りかけるスタイルも考えたが、「正面からだと『ダメな自分を叱られている』と感じる人もいる。誰かに話しかけている姿を横から見てもらいたいと思った」。ちなみにサメは、家具や生活雑貨のIKEAで購入したもの。「妻がお寺のインスタグラム用に使い始めたのを借りました」。名前は?「特にありません。サメ君です」。そんなどこかほんわかとした小林さんのスタイルが、じわじわと人気を広げている。

 2020年10月には、知人の僧侶からすすめられて「TikTok」での「1分法話」の発信も始めた。2本目にアップした動画が人気を博し、フォロワーが7人から約3000人に激増。3本目では約2万人まで増えた。「若い世代にも仏教は届く」と感じる一方「法話は『お役立ち情報』とは違う。やはりじっくりと聴く機会を持ってほしい」と感じている。



 インターネットで多くの人に法話を届ける取り組みをしつつ、目指すお坊さん像は少し違うという。「個人対個人、『私』と『あなた』の関係の中で悩みを相談したくなるような、そしてそれに答えていけるような存在になりたい」。YouTubeは入り口。いつか実際にお寺の門をくぐってきてくれた時にしっかりと受け止めるため、きょうも法話に磨きを掛ける。



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