運慶が手がけた数々の国宝仏像が安置される北円堂
奈良・興福寺で、今年没後800年を迎えた鎌倉時代の仏師・運慶について学び、その運慶が手がけた仏像を拝観する「仏師・運慶の技と祈りに迫る! 興福寺北円堂の特別拝観」を2023年5月2日(火)に開催しました。ゴールデンウイーク中の開催でしたが、多くの方にご参加いただきました。
講義会場となった興福寺会館
今回の企画は、つなぐ寺の興福寺特別拝観では初めて夕方に開催。午後4時半に境内の興福寺会館に集まっていただき、夛川良俊(たがわ・りょうしゅん)副貫首の講義を拝聴しました。
興福寺の鎌倉大復興や仏師・運慶について、夛川良俊副貫首が講義をしてくださいました
講義では、興福寺と藤原氏の関係から、平家による南都焼き討ちの背景、そしてそこから大復興を遂げた際の僧侶たちの熱い思いについて語ってくださいました。運慶はそんな興福寺でお堂周辺の管理を担っていた「堂衆」と呼ばれる僧侶の1人で、今では「お水取り」の名で知られる東大寺の修二会にも参籠していた記録が残っているのだとか。「天才仏師」のイメージが強い運慶の僧侶としての一面を学ぶことができました。
副貫首の夛川良俊さん
運慶は興福寺で、今は焼失してしまった西金堂と、北円堂の仏像制作を担当したそう。西金堂の本尊だった釈迦如来は、今もお顔だけが国宝館に伝わっています。そして北円堂には、本尊の弥勒如来坐像や無著・世親菩薩立像など、運慶の一派が手がけた傑作が数多く今も残されています。
夕暮れ迫る北円堂へ
その後、参加者の皆さまで北円堂に移動。通常の受け付け時間の終わった後、夕暮れ迫る時間帯の堂内を貸し切りでご拝観いただきました。
厳かな空気が漂う北円堂内
夛川副貫首は無著・世親菩薩について、5世紀ごろの北インドに実在した兄弟であり、法相の教えを確立した功績などを紹介。像を前に「本当にその方が立っておられるよう」と語っていました。
堂内で仏像について説明する夛川良俊さん
堂内には、かつて大安寺(奈良市)にあったとされる国宝・四天王像も安置されており、皆さん午後6時の終了時間いっぱいまでお参りされていました。
特別拝観を終えると、五重塔の上に月が出ていました
ご案内いただいた夛川副貫首、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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