美しい夕暮れを背景にした鳳凰堂
世界遺産・平等院(京都府宇治市)で「浄土」を味わう「平等院の夕べ 日想観と夜間拝観 ~英月さんと学ぶ『極楽浄土』平等院の夕べ」を2024年7月19日(金)に開催しました。猛暑の中となりましたが、70人を超える方が参加され、国宝・鳳凰堂の背後に沈む夕日を見つめる「日想観」などを体験しました。
毎日新聞でコラム「英月の極楽シネマ」を連載中の真宗佛光寺派・大行寺(京都市下京区)住職の英月さんが新刊『浄土の歩き方 ~行きたいと思ったときに来てくれるのが阿弥陀の国!』(春秋社)を刊行したことを記念したもので、親交のある平等院の神居文彰住職の協力で実現しました。
法話をする英月さん
参加者は、普段は非公開の塔頭(たっちゅう)・浄土院の本堂に集合。最初に英月さんが法話をしました。「私たちはつい『あの人は長生きや』『いい学校出て、いいとこに勤めて』と命をはかってしまうが、それぞれが比べることのないただ一つの命を今いただいているというのが真実」と語り、「お浄土というのは、はかることのとらわれから解放された世界。死んでから行く場所ではなく、今まさに私のために働きかけてくれている」と力を込めました。
対談する神居文彰住職(右)
2人の対談では、神居住職が「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまへ(極楽が信じられなくなったら平等院を拝みなさい)」という平安時代の書物の言葉をご紹介。「この平等院で信じ直すことができるという世界が一体何なのか、きょうはみんなで一緒に考えましょう」と呼びかけました。さらに「ご縁」について「皆さんがきょうここに来ることができたのもすべてご縁。このご縁を無駄にせずに、一瞬一秒を大切にすることが、今生きている者の務めだと思う」と力を込めました。
対談する英月さん(左)と神居文彰住職(右)
英月さんは「仏教というのは別の眼をいただくこと。自分の価値観ではない眼によって、見ているものがどんどん変えられていく」と語りました。
鳳凰堂の対岸に座り、沈む夕日を見つめる参加者たち
その後、鳳凰堂の対岸に移動すると、ちょうど鳳凰堂の背景に夕日が沈むところ。それぞれがクッションマットに座り、神居住職や英月さんら僧侶が読経や念仏をする間、静かに浄土に思いをはせました。刻一刻と空が色を変え、幻想的な雰囲気に包まれていました。
念仏をする僧侶たち
参加した滋賀県彦根市の原圭子さん(78)は「浄土について深く考えたことはなかったが、どう捉えたらいいのかヒントをもらいました。亡くなった両親や夫のことを思い、気分が安らぐ時間でした」とほほ笑んでいました。
日没を迎えた鳳凰堂
その後の夜間拝観では境内がライトアップされ、普段とは違う雰囲気の鳳凰堂に、多くの方が時間を忘れて見入っていました。
ライトアップされた鳳凰堂
英月さん、神居住職を初めとする平等院の皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
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